課程の概要
注意:このページでは主に修士課程について、修了のために必要な一連の学習・研究活動を、主に内容の面に重点を置いて説明しています。制度的な面、特に必要な単位数や修了要件については最新の「履修登録に関する諸注意」などを参考にしてください。
講義について
「スクーリング科目の履修」
統計学専攻ではいわゆるコースワーク(基礎科目、コアコース)として独自の科目を開講しています。履修制度上は「スクーリング科目」になっています。具体的には『測度論的確率論』『統計的推測理論』および『計量経済学』の三科目(各科目、I,IIをあわせて四単位)です。ほぼ毎週、宿題が課されるとともに、小テスト、中間試験、期末試験が行われます。コースワーク三科目は統計学専攻の教員(学内協力教員を含む)を指導教官として指名する上での要求科目であり、統計学専攻の大学院生にとって事実上の必修科目です。また、博士進学のためには良い成績を修めることが求められます。
- 『測度論的確率論』
測度論の基礎と基本的な収束定理、および測度論に基づく確率論の基礎について講義されます。過去の講義では以下の教科書が指定されています。
- Williams "Probability with Martingales"
- Rosenthal "First Look At Rigorous Probability Theory"
- 『統計的推測理論』
意思決定理論的な視点から主に点推定について、推定量の許容性や不変性に関する結果が講義されます。例年、Lehmann and Casella "Theory of Point Estimation" が教科書に指定されています。年度によっては、後半に仮説検定や線形(混合)モデルを扱ったり、輪読形式で講義することがあります(例:2022年度にはWainwright "High-Dimensional Statistics: A Non-Asymptotic Viewpoint"を使用)。
- 『計量経済学』
前半では操作変数法やパネルデータの分析などの基礎事項が講義されます。後半ではGMMやM推定量などの漸近理論、時系列分析の基礎、ノンパラメトリック・セミパラメトリックな方法などが扱われます。この講義はUTIPEと合同で開講されており、講義は英語で行われます。過去に指定された教科書には以下のものがあります。
- Hansen "Econometrics"
- Wooldridge "Econometric Analysis of Cross Section and Panel Data"
- Hayashi "Econometrics"
- Greene "Econometric Analysis"
「統計学輪講での文献紹介または研究発表」
統計学輪講とは、統計学に関わる研究をしている学内の大学院生・教員が一同に会するセミナーです。火曜四限に開講される通年科目(二単位)として扱われます。大学院生には毎年一回、50分間の研究発表が求められます。一年のスケジュールを確定するために、年度の最初の週に参加者登録が行われます。忘れずに登録をしてください(これはUTAS等での履修登録とは別に行われます)。
修士一年生は例外として、発表は冬学期(9月以降)に設定され、自分の研究の発表ではなく文献紹介でもよいことになっています。とはいえ、報告に値する論文を選ぶことは簡単ではありません。また最新の論文を理解するための勉強も必要です。多くの院生が、夏休みをこの準備に充てます。また、指導教官を決めるには早い時期ですが、報告する論文の選定について早いうちから教員に相談するのが通例です。
統計学輪講には教員も真剣に参加しています。要求される発表のレベルは高いものと考えてください。スライドの用意など、十分な準備のもとで発表に臨んでください。大学院生同士で協力して、事前に発表の練習を行うことも推奨されています。
その他の事項
- 応用統計ワークショップ
金曜五限のセミナーで、主に外部の大学・研究機関から講演者を招いています。不定期開催(およそ二週に一度)のため、開催の日にちに注意してください。統計学輪講とあわせて、研究の視野を広げる機会となっています。出席確認やレポートの提出が要求されることもありますので、単位の取得を希望する方は注意してください。日本語または英語で開催しています。
- 選択科目
コアコース以外にも統計学に関する講義が開講されています。ベイズ統計学、時系列解析、漸近理論、空間統計学、一般化逆行列とネットワークの理論などの科目が、講義形式や輪読形式で開講されています。
- 一橋大学との単位互換制度
一橋大学で開講されている科目を履修して修了単位に参入できる制度があります。
- 単位の持ち越し(内部進学者向け)
東京大学の学部を卒業した方で経済学部開講の「上級数理統計学」「上級計量経済学」の単位を取得した方は、その単位をもって大学院科目の「統計的推測理論」「計量経済学」の単位に充てることができます。ただし、それらの科目の単位は大学院の卒業単位に数えられるため、学部の卒業単位に算入はできません。所定の手続きが必要ですので、希望する場合には制度をよく調べてください。
修士論文について
指導教員の決定
修士課程の初年度中に指導教員を指名し、期間内に所定の届を提出する必要があります。経済学研究科所属の教員だけでなく、メンバーのページにある学内協力教員も指導教官に指名することができます。正式な指導教官のリストは掲示で周知されますので確認してください。
当然のことながら、事前に教員にコンタクトをとり、指導の許可をもらうことが必要です。また、要求科目というものがあり、教員が指定した科目を履修済でなければ指導教員に指名することはできません。要求科目は掲示で周知されますが、教員にコンタクトを取る時点で直接確認するとよいでしょう。前述のコースワークは統計専攻の全教員(協力教員含む)が要求科目に指定しています。
修士論文の審査と修了判定
修士論文の提出後、口頭発表と質疑応答からなる審査が行われます。正式な審査は例年二月に行われますが、それより早い時期(十二月または一月)に統計学コース独自の予備審査を行うことがあります。これらの審査をもって修士論文の合否が決まります。
よくある質問
Q. 入試に合格するにはどのような勉強をすればよいですか。研究計画書には何を書けばよいですか。論文は提出したほうがよいですか。面接ではどのような質問がされますか。
入試に直接関係することには答えられません。入試については、基本的には研究科のページを参考にしてください。また、過去の入試問題が販売されていますので参考にしてください。
Q. 入試の前に教員と会ったほうがよいですか。
必要ありません。所属教員と面識があるかは合否に影響しません。また規則により、願書提出後に教員とコンタクトを取ることはできません。
Q. 研究室訪問をしたいのですが。
経済学研究科の統計学コースの教員は個人で研究活動を行っており、実験系の分野に見られるような研究グループ・研究チームとしての「研究室」はありません。各教員の研究分野や論文などの情報については教員個人のホームページを見てください(メンバーのページにリンクがあります)。ただし、経済以外の学部に所属する学内協力教員の中には、独自の研究室を運営している方もいます。
Q. 統計学コースの修士課程出身ではありませんが、統計学コースの博士課程に合格できますか。
志願者が博士論文執筆のための研究を行う上で、本コース所属教員による指導が必要不可欠であると認められる場合に限り、博士課程からの入学を許可しています。過去には経済学コースの修士課程で計量経済学の理論を研究していた方が統計学コースの博士課程に合格した例があります。一方で、少なくとも直近の10年間に、他大学の大学院から本コースの博士課程に入学した例はありません。
Q. どれくらいの人数が博士課程に進学しますか。
平均して年1,2名程度ですが、年度により大きく変動します。統計コースが独自に定員を定めているわけではありません。
Q. 博士取得までの平均年数はどれくらいですか。
過去数年では、半数以上が三年間で博士を取得しています。個人の事情に大きく依存するため、三年以上かかる方もいます。また博士号を取得せずに就職する方もいます。
Q. 東大経済学部の学生です。大学院進学に関してゼミの教員に相談してはいけませんか。また願書提出後は接触禁止と聞きました。
講義内容に関する質疑応答、卒業論文の研究指導、進路相談など、通常の指導は可能です。相談事がある場合には遠慮せずに連絡してください。ただし、大学院入試に直接関係する質問には答えられない点はご理解ください(そのような質問があった場合には、教員の側から「答えられない」と伝えます)。
Q. 東大経済学部の学生です。大学院卓越プログラムで修士を一年で取得することは、統計学コースでも可能でしょうか。
スケジュール的に容易ではありませんが、可能です。講義を履修しながら一年足らずで修士論文を完成させる必要があるため、コースワークを学部生のうちに済ませるなど周到な準備が必要になります。2021年に初めて一人、卓越プログラムの修了者が出ました。
Q. 学振のポスドクに応募する予定です。受入教員になってほしいのですが。
希望する教員にコンタクトを取ってください。研究分野の不一致や業務の多忙により受入を断ることもあります。毎年のことではありませんが、ポスドクとして経済学研究科に所属する方もいます。
Q. Could you admit me to your graduate program as a research student/an intern/a postdoc with financial support? I’ll email you with my CV.
No. Do not email us for such request because we are unable to reply to you. Check out the departmental website for the information about our admission process.
Q. I’m a UTIPE student. Could you be my supervisor?
Unfortunately, no, we cannot be your formal supervisor. Although we sometimes teach in English, most of us are not the UTIPE faculties. See the list of faculties on the UTIPE website. Of course, you are always welcome to visit us and chat about research.
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